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商標登録表示について

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公開日:2019年01月07日

商標登録表示について
多くの商品パッケージには、その商品名(ブランド名)が登録商標であることを示す、「R」マーク等の表示が付されていますが、実際、この表示のメリットや具体的な使用の仕方等について知る機会は少ないものと思われます。
そこで、今回は、この「R」マークに代表される商標登録表示について、ご説明したいと思います。

目次

  1. 商標登録表示とは?
  2. 商標登録表示の表示義務について
  3. 商標登録表示の表示方法
  4. 商標登録表示のメリット
  5. 商標登録表示を表示する際の注意点
  6. まとめ

商標登録表示とは?

商標登録表示とは、その商標が、商標登録を受けていることを示す一定の表示のことをいいます。この商標登録表示については、商標法第73条に、次のように規定されています。

<商標法第73条>
商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、経済産業省令で定めるところにより、指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物に登録商標を付するときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示(以下「商標登録表示」という。)を付するように努めなければならない。

商標登録表示の表示義務について

このように商標法第73条では、商標権者等に対し、「商標登録表示」を付す義務を課しています。
しかし、商標法第73条の規定をよく読みますと、商標法第73条には、「商標権者等は、商標登録表示を付さなければならない」とは記載されておらず、単に、「付するように努めなければならない」と記載されているにすぎないことから、商標権者等が「商標登録表示」を付す義務は、あくまで「努力的な義務」となっています。

したがって、仮に、商標権者等が、その指定する商品又は役務に登録商標を付す際に、「商標登録表示」を付さなかったとしても、何ら法的な制裁を受けることはありません。

商標登録表示の表示方法

商標登録表示の表示方法として、商標法施行規則の第17条には、次のように規定されています。

<商標法施行規則第17条>
商標法第73条の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。

具体的には、

登録商標 登録第●●●●●●号

と表示することになります。

しかし、このような表示方法では、例えば、商品等の包装のデザインイメージが損なわれるおそれがあることから、一般的には、登録商標の隅に小さく「R」マークを表示している例が多く見受けられます(「R」は、「RegisteRed」の頭文字です)。

なお、商品名等(ブランド名)の隅に「TM」マークを付している例も多くみられますが、これは、その商品名等が、

  1. 商標登録されていない商標
    又は
  2. 現在商標登録出願中の商標

であることを示す際に使用されるものとなっています(「TM」は「TRADEMARK」の略です)。

商標登録表示のメリット

第三者は、「商標登録表示」が付されていることで、その商標に商標権が存在することを認識することができることから、「商標登録表示」には、未然に商標権侵害を防止できるというメリットがあります。

商標登録表示を表示する際の注意点

このように、商標登録表示は、商標権者等が、その指定する商品又は役務に登録商標を使用する際に付すものとなっておりますが、

  1. 登録商標以外の商標を使用する場合
  2. 指定する商品役務以外の商品役務に登録商標を使用する場合

等に、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されておりますので、細心の注意が必要です(商標法第74条、同法第80条)。

まとめ

このように、「商標登録表示」には、未然に商標権侵害を防止できるというメリットがある反面、その使用方法については、細心の注意が必要であることから、これを機に、「商標登録表示」の使用方法について、一度、見直されてみてはいかがでしょうか。