知財コラム - 特許

TOP > 知財コラム > 特許 > 特許権取得のポイントについて
カテゴリー
カテゴリー

特許権取得のポイントについて

特許

公開日:2017年06月22日

特許権取得のポイントについて
今回は、どのようなものが特許になるかという観点から、特許権取得のポイントについて、ご説明したいと思います。

目次

  1. はじめに
  2. 特許権を取得するための主な要件
  3. 特許権取得のポイント
  4. まとめ

はじめに

よく、お客様より、「私のアイデアは、すごく単純なものだから、これじゃあ特許は取れないよね?」というご質問を受けることがあります。

しかし、特許権を取得するためには、特許法に規定されている「特許になるための要件」をクリアすればよいことから、一見、高度な技術と思われないような単純なアイデアでも、十分に特許になる可能性はあります。

では、特許権を取得するための要件とは、どのようなものなのでしょうか?

特許権を取得するための主な要件

特許権を取得するための要件には、様々なものがありますが、ここでは、特許権を取得するための代表的な要件について、みていきたいと思います。

特許出願の時点で新しいものであること

アイデアが特許出願の時点において、新しいものでない場合には、特許権を取得することができません(新規性の要件)。
例えば、出願を考えているアイデアと同じアイデア(同じ構成からなるアイデア)が、既に特許出願の前から世に存在している場合には、そのアイデアは新規性を有しないものとして、拒絶されます。

これに対し、既に特許出願の前から世に存在しているアイデアと出願を考えているアイデアとの構成に異なる点が存在する場合には、新規性の要件はクリアされることから、このアイデアが新規性違反を理由に拒絶されることはありません(他の構成が付加されている場合等)

特許出願の時点において、容易に作り出すことができないこと

アイデアが、特許出願の時点において、新しいものであったとしても(新規性の要件を満たすとしても)、当業者において、容易に作り出すことができるようなものである場合には、このアイデアについて、特許権を取得することはできません(進歩性の要件)。

例えば、出願を考えているアイデアが、「A」、「B」、「C」という3つの部材からなる機械部品である場合に、これらの部材が既に特許出願の前から世に存在していて(従来技術)、当業者が、これらの部材を組み合わせることで、容易に当該機械部品を作りだすことができるような場合には、その機械部品(アイデア)は進歩性を有しないものとして、拒絶されます。

ただし、

  1. 当該機械部品を作る際、「A」、「B」、「C」との部材の組み合わせに、一工夫加えたような場合(「単純にはこれらの部材を組み合わせることができない」という技術的な困難を乗り越えた場合等)

    又は

  2. これらの部材からなる当該機械部品が、従来技術と比較して、予想外の効果を発揮するような場合

等は、進歩性が認められることがあります。

特許権取得のポイント

上記のとおり、特許権を取得するためには、上記の要件をクリアしなければならないことから、単純なアイデアが上記の要件を満たすことで、特許として認められる場合もあれば、反対に、最先端と思われる複雑な通信技術等が、上記の要件をクリアできずに、その特許性が否定されることもあります。

したがって、特許権を取得できるか否かのポイントは、アイデア(技術)が、複雑か単純かではなく、あくまで、上記の要件をクリアできるか否か、言いかえれば、

出願したアイデアが、

  1. 従来技術と比較して異なる構成を有するか否か
  2. その構成の違いから従来技術と比較して、有利な効果が発揮される否か等

の点にあるといえます(つまり、従来技術との関係が特許権取得のポイントになります)

まとめ

このように、単純なアイデアから複雑なものまで、様々なものが特許になる可能性を秘めていることから、皆さまにおかれましても、これを機に、是非一度、特許権の取得について、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

なお、特許権を取得するためには、他にも様々な要件をクリアする必要があることから、上記新規性及び進歩性の要件をクリアしただけでは、特許にならない可能性もございますので、この点にはご注意ください。