Q
サッカーのシュートをする際に大きくボールを曲げる蹴り方を発案しました。この蹴り方でボールを蹴れば、効率よくボールを曲げることができます。
この私の発案(アイデア)は、特許権として保護されますか?
A
保護されません。
特許法では、特許権により保護を受けることができる発明について、以下のように規定しています。
【特許法2条1項】
「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」
(以下、「法上の発明」といいます)。
あるアイデアについて特許権による保護を受けるためには、当該アイデアがまず「技術的思想」である必要があります。
そして、ここでいう「技術」に該当するためには、当該アイデアが繰り返し同じ結果を得られるように実施できるもの(※客観的に伝達可能なもの)でなければなりません。「技術」とは、具体的な手段をもってある目的(課題)を達成(解決)するためのものだからです。
ここで、本件アイデアである「ボールの蹴り方」について検討すると、人間は皆、それぞれ持っている技量等が異なります。そのため、いくら人間が同じフォーム(蹴り方)でボール蹴っても、そのボールのスピード、高さ、方向性等は蹴る人の技量等によって結果が異なるものです。つまり、毎回、皆同じ結果になるとは限りません。
したがって、本件アイデアである「ボールの蹴り方」は、上記の「繰り返し同じ結果を得られるように実施できるもの」という要件を満たしませんので(つまり、客観的に伝達できないもの)、ここでいう「技術」には該当しません(「ボールの蹴り方」は、むしろ、技能といえます)。
よって、本件アイデアである「ボールの蹴り方」は、「法上の発明」に該当しないことから、特許権による保護を受けることはできません。