インドの改正特許規則の施行について
外国出願
公開日:2020年12月17日
主な改正点は、優先権書類及び特許付与後の国内実施報告書に関するものです。
目次
優先権書類について(インド特許規則21)
インドでは、これまで、国際出願とともに受理官庁に優先権書類が提出されている場合(PCT規則17.1(a))、優先権書類が受理官庁により発行される場合(PCT規則17.1(b))を例外として、上記の場合を除き、優先日から31月(インド特許規則20(4))までに優先権書類を提出しなければなりませんでした。
今回、国際事務局が国際公開の日前に電子図書館から優先権書類を入手可能である場合(PCT規則17.1(bの2))も上記の例外に加わることになりました(インド特許規則21(1))。
また、これまで、提出される優先権書類が英語で記載されていない場合は、英訳文を提出しなければなりませんでした。
今回、以下の場合のみ、英訳文を提出しなければならなくなりました(インド特許規則21(2))。
- 優先権の主張の有効性が、その発明が特許を受けることができるかどうかについての判断に関連する場合(PCT規則51の2.1(e)(i))
- 国際出願の明細書、請求の範囲又は図面の部分が欠落しているが、先の出願に記載されている当該部分を引用により含めることにより国際出願日が認められた場合(PCT規則4.18、20.3(b)(ii)、20.5(d)、20.5の2(d)、20.6)において、指定官庁が出願人に優先権書類の翻訳文のどの部分に当該部分が記載されているかに関する表示を提出することを要求できる場合(PCT規則51の2.1(e)(ii))
なお、出願人が上記インド特許規則21(1)又は(2)の要件を満たさない場合、インド特許庁は、出願人に優先権書類又はその英訳文を提出するように求め、求めから3月以内に出願人が提出しない場合は、優先権の主張は無視されます(インド特許規則21(3))。
特許付与後の国内実施報告書について(インド特許規則131)
インドでは、すべての特許権者及び実施権者は、特許発明の国内実施報告書を管理官に提出しなければなりません(インド特許法146条(2))。
これまで、国内報告書は、各暦年の年末から3月以内に提出しなければなりませんでした。
今回、「暦年」から「会計年度」に変え、特許が付与された会計年度の直後に開始する会計年度から、各会計年度の満了後6月以内に提出しなければならないとされました(インド特許規則131(2))。
つまり、これまでは暦年(1月1日~12月31日)の実施報告を翌年の3月31日までに提出しなければなりませんでしたが、今後は会計年度(4月1日~翌年3月31日)の実施報告を9月30日までに提出しなければならないことになります。
また実施報告書の様式(Form27)についても、以下の改正がありました。
- 特定の特許から得られる概算収益/価値が、その他の関連特許から得られる概算収益/価値から個別に算出できない場合において、そのような複数の関連特許を同一の特許権者が保有している場合には、その複数の関連特許について1つの報告書で提出することができます。
- 任意の年のライセンス/サブライセンスを特定する要件が削除されました。
- 公衆の求めに対して手頃な価格で提供されているかどうかを報告する要件が削除されました。
- 特許権者が実施/不実施について500語以内で説明する欄が導入されました。
- 実施権が複数の者に許諾されている場合、特許権者は当該複数の実施権者と共同で1つの報告書を提出することができるが、各実施権者は個別に報告書を提出しなければなりません。
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