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自社ブランドを他社に商標登録されたが、無効審判請求・自社製品の商標登録を行い、解決した事例

自社ブランドを他社に商標登録されたが、無効審判請求・自社製品の商標登録を行い、解決した事例

業種 アパレル

ご相談に至った経緯

B社は、中国国内において、『▼▲』というブランドのアパレル商品(主力商品は「下着」)を販売する者です。B社は、ここ最近、『▼▲』ブランドに関する日本からの問い合わせが増えてきたことから、日本でも、ECサイトを通じて、『▼▲』ブランドの商品を販売することを決定しました。

ところが、日本で販売を開始した直後、B社は、面識のないC社から、「日本で『▼▲』ブランド商品を販売するB社の行為は、C社の商標権を侵害する。直ちに、『▼▲』ブランド商品の販売を中止するよう求める。」との警告を受けてしまいました。

そこで、困ったB社は、「日本で『▼▲』ブランド商品を安心して販売するための打開策はないか」と、その答えを求めて、ベリーベスト国際特許事務所に相談をしました。

ベリーベストでの対応と結果

1、担当弁理士によるヒアリング及び調査

まず、担当弁理士は、B社から本件の事情を聴き取りました。すると、次の事実が明らかになりました。

  1. (1) 中国におけるB社の『▼▲』ブランド商品の売上は高く、年々、増加していること。
  2. (2) 上記(1)の実績から、世界的に有名な通販サイトが、B社の『▼▲』ブランドを、中国でのECサイトの成功事例として紹介していること。
  3. (3) 『▼▲』ブランド商品を販売しているのはB社だけであり、C社は、『▼▲』ブランド商品を、中国はもちろん日本でも販売していないこと。

次に、担当弁理士は、上記の事実に加えて、C社の商標権についても調べました。
すると、

  1. (4) C社は、上記(2)の事実の後に、当該商標権取得のための出願(商標登録出願)を行っていたこと。
  2. (5) C社の商標権に係る登録商標は、造語からなるB社のブランド名『▼▲』と同一の文字から構成されること。
  3. (6) C社の商標権に係る指定商品は、B社の『▼▲』ブランドの主力商品である「下着」と同一であること。

が判明しました。

2、担当弁理士の見解

上記ヒアリング等の結果、担当弁理士は、「B社が日本で『▼▲』ブランド商品を販売する行為は、C社の商標権を侵害するものの、上記(1)~(6)の事実を踏まえれば、本件では、C社の商標権を無効にすることで(無効審判の請求)、C社からの権利侵害の主張を回避できるのではないか」と考えました(その理由は、次の「(A)~(E)」を参照)。

また、担当弁理士は、「このような事態を防ぐためにも、B社は、当該無効審判を請求する前に、ブランド『▼▲』(指定商品「被服、下着」等)について、商標登録出願を行うべき」とも考えました。

■理由

  1. (A) 上記1)及び2)の事実から、B社の『▼▲』ブランドは、アパレル商品(主に「下着」)のブランドとして、中国の需要者に広く知られているといえること、
  2. (B) 上記4)~6)の事実から、C社は、B社の『▼▲』ブランドが、中国で広く知られていることを知った上で当該商標権を取得したといえること、
  3. (C) 上記3)の事実及び上記(B)の点からすると、C社は、「B社が日本で『▼▲』ブランドの商標権を有していないこと」に目をつけ、B社の業務を妨害する又はB社に当該商標権を高額で売りつける等の目的(不正の目的)で、当該商標権を取得したといえること、
  4. (D) 上記(A)~(C)の点を総合すると、C社の商標権は、商標法4条1項19号(※)に違反して登録されたものといえることから、無効になる可能性があること
  5. (E) 上記(D)より、無効審判を請求して当該商標権を無効にすることができれば、B社は、C社の商標権を侵害することなく、安心して日本で『▼▲』ブランドの商品を販売することができるようになること。

※参考条文

  • 商標法4条1項柱書
    次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
  • 商標法4条1項19号
    他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの。

3、ベリーベストの具体的対応

そこで、担当弁理士は、上記の見解をB社に報告しました。
すると、B社より、

  1. C社の商標権に対する無効審判請求
  2. ブランド『▼▲』(指定商品「被服、下着」等)についての商標登録出願

に関する手続きを進めてほしいとの依頼を受けたことから、担当弁理士は、証拠の収集等、直ちに必要な準備を行い、上記①及び②の手続きについて、特許庁に申請を行いました。

その結果、C社の商標権に対する無効審判では、ベリーベストの主張(上記「(A)~(E)」)が全面的に認められ、C社の商標権に対しては「無効」の審決が下されました(その後「確定」)。 また、C社の商標権の無効が確定したことから、B社のブランド『▼▲』に関する上記出願についても、最良の結果(無事に商標登録)を得ることができました。

これにより、B社は、安心して、『▼▲』ブランドの商品を日本で販売することができるようになりました。

弁理士のコメント

商標法では、先願主義(先に出願した者が商標登録を受けることができる制度)を採用していることから、複数の商標登録出願が競合した場合には、先に出願した者のみが、その商標について登録を受けることができます。
そのため、他人に自身のブランドを先に出願された場合には、上記ケースのように商標権侵害等のリスクが生じるおそれがあります。